詰められないし、そんなに詰める意味ある？　という気がしてきてしまいまし
たので、中途半端に上げてしまいます。
　「正規表現」というのは、元来行志向なものです。そして、最差最長のような
（古典的な）ルールのように行頭から行末に向かって「考える」ように設計・発
想されていると思います。

　というわけで、 Vz+vwx での下から上に向かっての処理、同じ組み合わせでの
「backward」（ここから上、つまりファイル先頭に向けて）の置換につらいもの
が出てくるのは、仕方ないことなのでしょう。もっとも、考えてみれば、僕はこ
れをほとんどしないので、ま、いっかと投げちゃうことにした次第ですが。もち
ろん、ファイル先頭行の処理のため、検索をつかう切った貼ったマクロでは、
ファイル最初の行は行末から行頭へ検索する、というのも確立した技術ですが
（個人的には、やばい場合はなさそうと判断）。

　さらに、 「もっとも」「でも」をくり返せば、僕がみたところ、これ、Win9x
とか NT 系とか vtdos とかのプラットフィームと関係のない不具合、つまり Vz+
vwx が生まれつき持っていた不具合で、我々は（少なくとも僕は）２０年以上、
このような  vwx の振る舞いに気づかないまま平気でやってきたのですから、大
事（おおごと）ではありません。

　とにかく、以下の下からの検索（#r）では、不具合が露呈します。 「$」も絡
んでますね。
　４行目（くらい）は、テスト用の対象文字列のつもりです。５行目（くらい）
にカーソルを置いてテストすることを想定しています。

;あら、改行文字にヒットしちゃう。vwx正規表現は「改行文字」を無視する仕様
;なので、これはいけない。重くないと思うけど。
A \x .
B \x [^あい]
う

;１つ下の行からだと改行文字の次の（前の）ターゲットにヒットしない。
C \x \.$	;１文字。メタキャラの否定。「^」だと上下とも問題なし
D \x \.		;$なしだとヒット
.

;１文字（A, B）のときだけなのか？　→とは限らない。
A' \x .あ$    ;１行下からダメ　「$」に問題があるように思える。→改行の処理？
.あ
いあ

A' \x あ.$    ;１行下からダメ
あ.
あい

;１つ下の行からだと改行文字の次の（前の）ターゲットにヒットしない。
C' \x あ\.$	;メタキャラの否定。２文字。ダメ。
あ.

C" \x \.あ$	;メタキャラの否定。２文字。ダメ。
.あ

　上が読み解けて、バババと連続でテストした方は唖然とするというか暗い気持
ちになるかもしれませんが、これだけの条件を整えるのは大変で、つまり、あま
り普通は起こりませんからご安心を。

　うまく咀嚼、消化できたわけではないのですが、10# さんが vtdos 掲示板
ＢＢＳで「1文字短く認識されてるよう」（2015/12/29 (Tue) 18:31:53）と言っ
ていたことが、「改行文字」（0d0ah の２文字）あたりと絡んでるかな、とか空
想しました。「0d0ah の２文字」の２文字だから逆に、、、とか。


　余計であてにならない妄想：正規表現が元来行志向だとすれば、 #r を含むエ
ディタに装着される  vwx は、エンジンからして当時のやり方よりずっと進化し
ていなければならなかったのかな、などと考えました。秀丸（正規表現＋ #r が
ちゃんと効く）には、hmjre.dll（秀丸 Japanese Regex）というエンジンがあっ
て、進化エンジンを秀丸用にしたもののはずです。進化系では最左最長の原理を
修正する greedy, reluctant, possessive の３段階になっています。起点を左に
ずらす機能と僕はイメージしています。「改行２文字」と「$」とは、ちょっと
違う話かな、とも思ってますが。
　ですから、上は「不具合」というより（ユーザの直感からは外れますが）、仕
方のない「仕様」となるのかな、とも思っています。Looks like a bug, but it's
a feature とか。仕様でもバグでも、我々としては「振る舞いを読み切る」あ
るいは「天使が恐れるところには近づかない」ぐらいしか手がないのですが。

　詰めたい方は詰めて下さい。「$」「改行文字」「１行下」「#r」あたりが
キーワードみたい。「*」「?」「+」あたりの Quantifier は、みなそうなりそうな
気がする。
　文太君、おしかったねぇ、もう少しだったよぉ、とか誰か言ってくれないかなぁ。


　追伸：下も同根なのかな？　ちょっと違うかな。これは、いつもすごく不満。
何とかならんのかな、と思って、はや２０年。

「\x $」→「b」（行ブロック指定。置換。これはバグです）
aaa
aaa
「\n」→「b\n」とすればいい、
　では解決しない場合がいっぱいあるんですよ。

vwx調査つづき

　確認です。
　以下、４つのレコードがあると考えてください。
　検索文字列と対象文字列の２行で１ペア。
　レコードを区切る空行にカーソルを置いて#rする。

\x あ.			;A
あい　あい　あい

\x ^あ.			;B
あい　あい　あい

\x あ.$			;C 失敗
あい　あい　あい

\x あ.$			;D
あい　あい　あ

A ちゃんと後ろから（３つ目の「あい」から）ヒットしてゆく。
　行志向といっても、行頭からマッチングが試みられるわけではない。
B 問題なし。
C Bのレコードに当たってるでしょ。
D 対象文字列行末で「い」が削除されていて、「\x あ.$」の「.」にヒットする
ものがないので、Cのレコードにヒットで正解。
　ここが確認したかったこと。うん、もし「.」が改行文字にヒットすると
（そんな事例がありました）Dの「あ改行」にヒットしてしまうのか、と思ったのです。
　「$」の意味はどうなるんじゃい？　と思っていた。不安だった。
　「前行にヒットしない」ではなく、「改行文字にヒットしてしまう」現象は、
　やはり検索文字列が１文字のときみたい。

　苦闘はなおも続く。フォーマット、基本的に同じ。

\x あ[^い]$		;E　ヒットなし、正解。
あい　あい　あ

\x あ[^い]$		;F　ヒット。正解。
あい　あい　あう

\x あ\.$		;G　おお、一歩前進。行末「あ.」にヒットせず困って
			;しまうのは、カーソルが「あ.改行★」の、★の位置に
			;あるときです。色々納得。
			;左下のサンプルでは、次行の行頭「か」にカーソルを置くと
			;ヒットしないが、次の「き」ではヒットします。
あい　あい　あ.
かき

\x .			;H　検索で改行文字にヒット。ダメ。
あい　あい　あう


　「改行文字にヒットしてしまう」ような不具合は、もうちょっとちゃんと調べ
ないと深刻かな、と思ったのでした。「.」「[^あ]」（※）みたいな検索文字列
が１文字になる指定をして上に向かって検索すると（#r）、痛い目にあいます。
　僕がみたところ、置換は大丈夫みたいでした。

　脱線から結論へ。
　（※）「.」や「[^あ]」は、正規表現として不正ではありません。
　以下は、sed（serow版にあらず）でしたテスト。
s/./★/4	;スクリプト
あああああ	;入力
あああ★あ	;出力

s/[^あ]/★/4	;スクリプト
かかかかか	;入力
かかか★か	;出力

　スクリプト末の「4」は４番目の意味。（serow 版ではこの番号フラグ不可。）
　ただ、Ｖｚは、s///g のグローバルフラグを立てた状態と同じく、グローバル
に検索・置換しますので、「.」「[^あ]」のような指定は、あまり現実的では
ありません。 「+」「*」「?」のような装飾子と同じ役割を通常果たすものだ
ろうと考えてもいい。ちょっと甘いけど。というわけで、「改行文字」にヒット
するという最悪の事態は通常避けられている、ということだと思います。


　別の現象、改行をまたいだ前行末は危ない。これは起こるときには起こるでし
ょう。でも、直前、目前だけです。そんな場所から検索を始めないことです。
　置換については、どうも大丈夫そうだ、という感触ですが、、、。

\x あいうえ[^お]$	;「か」で失敗。「き」で成功。マッチングは「あ」からなのに。
あいうえあ
かき


　最後に回数指定子ふたたび。ほぼ検算。あるいは練習問題。
　始点、カーソル位置はよく考えましょう。
　ヒント：ここに改行入れれば当たるね、と発想できると合格。

\x あい*$
あ
あい
あいい
　対象文字列が３行あります。順番にやってみてください。なるほど、と
思うはずです。もちろんバグ入りです。

\x あい?$
あいい
あい
あ
　上に同じです。別に僕がトリックを仕掛けているのではありません。
　vwxによる正規表現講座では、ぜったい下からの検索は避けるべきです。

\x あ+$
あい
あ
ああ
　同じ。ただ、わざと地雷を踏むようにしてるだけですよ。

　上への検索、直前の改行文字、１文字の指定。
　気をつけるべきはこんなところでしょう。


　猫とはいえ、いつ、どこにおしっこをするのかという習性ぐらいは把握しておか
ないと、むしゃくしゃしたときなどに、殺猫（さつねこ）したり自殺したくなったり
します。それは困ります。
　vwxと猫はある程度予想可能ですが、人間なんて何をしでかすか分かったものじゃ
ありません。(^^)v